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元日本代表
松本弥生氏インタビューvol.2

-長期休養の理由、引退した今だから言える事-



<プロフィール>
松本 弥生(まつもと やよい)1990年3月8日生まれ。

競泳・元日本代表。
2010年、広州アジア大会で400mリレーと800mリレーで銀メダル。50m自由形で銅メダル獲得。
2012年、ロンドンオリンピックの4×100mフリーリレーで7位入賞。
2016年、リオデジャネイロオリンピックの4×100mフリーリレーで8位入賞。

飛龍高等学校を卒業し、日本体育大学体育学部体育学科を卒業、日本体育大学大学院修了。
2022年に現役を引退し、現在は水泳初心者からマスターズに出場している方々まで幅広くレッスン・サポートを行っている。
https://r.goope.jp/yayoi-matsumoto


-- 長期休養の理由

ちょっと長くなりますよ(笑)
2016年のリオ五輪後に、一度競技から離れてみよう思ったのが長期休養の理由です。
リオ五輪が終わった時に私は26歳でした。水泳選手としてはそれくらいが引退の年齢というのもあり、引退しようとも思いました。 ただ、東京五輪が決まっていたので、出場を目指したい気持ちもあったんです。 でも、4年間練習を頑張り続ける覚悟が持てない…そこで一度長期休養をする事にしました。

メディアの方からは「一度引退してからまた復帰しようとした思ったのは何故ですか?」とよく聞かれますが、 「引退」という言葉は自分から言った事はないんです。 そこにこだわりはないので、メディアの方には「引退」か「長期休養」のどっちの言葉を使ってもらっても構いません、と言っていました(笑)

引退届は出さず、長期休養という形にしていたので、ドーピング検査も受けていました。
最初の2年間は競技をしたいとは思いませんでしたが、2020年の東京五輪が近づくにつれ「競技をしたい!」という気持ちがだんだんと強くなってきたんです。
また、自分の中でやるのかやらないのか、白黒はっきりさせたい部分もあったので、2018年4月の日本選手権で、私の種目である100m自由型で上位4人が私のベストタイムを上回ったら引退しようと決めました。 逆に、「私のベストタイムでベスト4に入れるなら復帰しよう!」と自分の中で決めました。
今後の運命を決める事になるので、日本選手権を観に行くのは緊張しましたね。
もし私がその日本選手権に出場して、ベストタイムで泳げば2番相当だったという結果でした。

そこで、自分の中で「復帰しよう!」という決意し、そのまま観覧席からプールサイドに降りて行って、担当をお願いしようと考えていたコーチに「復帰するので、練習よろしくお願いします!」と言いに行き、復帰する事にしました。


-- 引退した今だから言えること

なかなか引退できなかったのは、正直、水泳にしがみついていたという部分がありました。
水泳が大好きでしたし、勝負する事が純粋にすごく楽しかったですから。 日本選手権で何度か優勝し、あの時に味わった感動や興奮が忘れられませんでしたし、また味わいたいとも思っていました。 あれ以上に感情が高まる事はこの先の人生でもないと思っています。

引退しようと決めたのは、2021年の年末に行われた大会の後です。 東京に帰っている時、これ以上記録が伸びる事はないな…と思った時、「よし!引退するか!」という前向きな気持ちで引退できました。 出場しようと考えていた世界水泳の延期も決まり、それも追い風になりましたね。

引退後は、旅行をしたり、ダイビングという新しい趣味を見つけたり、とても充実しています。 コロナもあり、引退するかどうか悩んでいる選手がいれば、引退後も楽しい事がたくさんあると伝えたいですね。

それから、マスターズにもまた出場したいと考えています。
メンバーの都合を合わせるのが大変そうですけど(笑)
(2022年4月にマスターズの4×50mメドレーリレーで世界新記録達成)

また、現在は、楽に・速く・長くをモットーに、水泳の楽しさを老若男女、年齢問わず教えています。 生徒さんが、泳げるようになったり、上達して、笑顔になって頂けるのを見ると、すごく嬉しいんですよ!
■お問い合わせ:松本弥生のスイムレッスン「OLYMPIAN LESSON」
https://r.goope.jp/yayoi-matsumoto