Blade 開発秘話

アテネ五輪を控えた2004年シーズンが、いよいよ本格的にスタートした水泳界。その中で今春、注目すべきニュー スイムギアが登場した。式会社タバタの競泳用ゴーグル『Blade(ブレード)』だ。水の抵抗を軽減することに徹底的にこだわって作られた画期的なゴーグル。

今回はその特徴について、同社企画開発課の深澤俊二氏と、テストモニターとして開発に協力した筑波大学競泳部 前主将の加藤洋平氏にお話をうかがった。

※この内容は、2004年スイミングマガジン5月号に掲載されたものをWeb用に加筆訂正したものです。

アイカップ後方の水の流れを整え、顔から最も出っ張る部分をカット。
日本人の顔に合わせて深さも調整

編集部: まずは『Blade」を開発したときの基本コンセプトからお話いただけますか。

深澤: 弊杜ではこれまでフィットネスをターゲットにしたゴーグルのラインナップを数多く開発してきましたが、競泳の競技者や愛好者に対してもさらにアプローチしたいという強い気持ちがありました。 そこで3年くらい前からですね、ある種特化したというか、従来のものにはない特徴を持ったゴーグルを作り出そうということで『Blade』の開発を始めました。そして、その大きなキーワードが“水の抵抗を軽減する”ということだったのです。

編集部: 水の抵抗を軽減するというコンセプトは、今や水着では周知のことですが、ゴーグルでとなると非常に斬新な視点だと思います。

深澤: 確かにそうですね。そこでまず、コーグルの周りの水の流れ方に着目しました(図1参照)。泳ぎ進んでいく中で、前方から水が来てアイカッブ(レンズ部分) の表面を流れた直後に渦が巻く。この渦をできるだけ大きくしないことが抵抗を減らすポイントであるという考えに至りました。その後、試行錯誤を重ね、ブレード(=刃の意味)という斜めにカットした形状で目の周辺の凹凸を抑え、アイカップ後方の水の流れを整えることに成功したのです。

編集部: その他、抵抗を減らすために工夫されたことは?

深澤: アイカップの投影面積を小さくしました。(図2参照)。必要な視界を確保しながら、装着時に顔から最も出っ張る部分をカットしたのです。アイカップの深さも日本人向けに調整。さらに、鼻の一番低いところにノーズベルトを通すことで、顔からの飛び出しを抑え、抵抗を軽減しています。

自分に最適なフィッティングを実現する5サイズのノーズベルト、
装着感で使い分ける2種類のストラップ

編集部: なるほど。どの要素も、実に理にかなったものですね。さて、加藤さんはテストモニターとして『Blade』を着けて 何度も泳がれたそうですが、印象はいかがでしたか。

加藤: 正直、最初は顔に当たる部分に違和感をおぼえたのですが、何度もコミュニケーションを重ねて改良してもらい今の形状になった結果、アイカップ周りの水の自然な流れを感じられるようになりました。レンズ後方の水が、サラッと自然に流れていく感じなんです。自分が今まで使っていたゴーグルと比べると、その違いがはっきり分かりましたね。競技レベルが上がれぱ上がるほど、そのことを実感できるのではないでしようか。

深澤: 今、加藤さんが違和感と言いましたけど、「これまでのゴーグルとは違う感じ」というダイレクトな反応が、逆に私たち開発者にとってはすごく面白かったですね。たとえそれが違和感という表現であっても(笑)、まず興味を持ってくれるということが一番大事ですから。

加藤: 形もデザインも、ずっと着けていくうちに慣れてきました(笑)。以前よりも泳ぎの流れがスムーズになったと感じています。自己ベスト更新を目指す愛好者から、100 分の1秒を追求するトップレベルの競技者まで、十分に納得できるゴーグルなのではないでしょうか。それから、長さの異なるノーズベルトが5サイズあるのもうれしい。自分に一番合ったフィッティングを実現できますからね。